低下した筋肉を回復して日常生活動作の向上を図るため、
患者さんの症状や筋力レベルに応じて行う自立を目的とした筋力トレーニングを行っています。
筋トレを継続的に行う事で下記のような効果が期待できます。

①筋力を増やして、転倒を予防

筋トレで筋力が増強すると、姿勢を保つ能力が向上します。
スムーズに歩けるようになり、バランスを崩したときにとっさに手が出やすくなることで、転倒のリスクを下げることができます。

②基礎代謝が向上し、血流が改善

筋トレによって筋肉量が増大すると、体を動かすのに必要なエネルギー量が増えるため、基礎代謝が上がり、血流の改善が期待できます。

③寝たきりの予防

筋肉は加齢とともに衰える傾向にあり、それを放置していると、要介護状態の手前の「フレイル(虚弱状態)」、「ロコモティブシンドローム(筋肉などの衰えが原因で、立つ・歩くといった機能が低下した状態)」につながります。
これらは寝たきりに直結する状態ですが、日頃から筋トレをし、筋力を維持・向上させることで寝たきりを予防できると考えられています。

④認知症の予防

適切な強さの筋トレを続けると感覚神経のつながりがよくなり、次第に痛みや疲労を感じるようになりますが、それに合わせて脳に刺激が伝わり、認知機能が向上するとも考えられています。
認知症予備軍である軽度認知障害の人を対象に、筋トレなどの運動を週に1回・3ヵ月続けたところ、記憶力のスコアがかなり改善した、という報告も得られています。

⑤腰痛や膝の痛みの予防

筋トレによって筋肉量が増えると関節への負担が減り、腰痛や膝の痛みが軽減しやすくなります。

 

主な筋力トレーニングメニュー

・ベッド上で手足を上げる下げるといった反復運動
・座位姿勢を保つためのベッド上での運動
・歩行安定化を目指す ベッドサイドでの起立運動(スクワット)

両手の挙上筋トレ

当院の患者さんの中でも慢性的な猫背や老化による筋力低下で
肩関節や背中の筋肉の働きが制限されて動かしにくくなって
いる患者さんは割とおられます。肩回りや胸周りを丁寧に
マッサージで筋肉をほぐした後、両手を上にあげる筋トレを
行い、十分にストレッチを効かせる事で両手は真上まで
あげれるようになりました。

お尻上げ運動(臀部・大臀筋の筋力強化)

お尻上げ運動は、ヒップリフトともいい、腹部とお尻、下肢の筋肉を鍛えることができます。

特に大臀筋には太ももを後ろに引っ張る役割があるため、歩いたり走ったりするためにはとても大切な筋肉で、椅子から立ち上がるときにもよく使います。
また体を支える役割もあるため、筋力が弱くなると立っている際に猫背になってしまったり、姿勢が崩れてしまいます。

クランチ(上体起こし)

クランチ(上体起こし)は、膝を曲げた状態から頭と肩を起こし、お腹をのぞくようにする運動で、主に腹部の筋肉を鍛えることができます。

両手でペダルこぎ運動

座ってできる全身運動です。有酸素運動のため、心肺機能が低下するのを予防してくれます。

海外では脳卒中後の上肢トレーニングの練習にもよく使われています。

足こぎ運動

座ったままペダルをこぐだけで、踏み台昇降や階段登りと同じ効果があると言われてます。

関節への負担が少なく、体に痛みも出にくいため、毎日でも続けやすい有酸素運動です。寝たきり予防にもおすすめの運動です。