フレイル

介護予防の新しい合言葉「フレイル」

こんにちは。 ラクナル訪問マッサージ治療院 大阪 相談員の小松です。

あなたは「フレイル」という言葉をご存知ですが?

最近医療業界を中心に広がりつつある概念で、 特に高齢者と触れ合う機会の多い方には是非知っておいて頂きたい言葉です。
実は私、前職で製薬業界におりまして、若干ですがフレイルについての見識がございます。

フレイルってなに?

フレイルは医療業界で周知されつつある言葉ですので、病気かと思われがちですが・・・ 病気ではなく、 状態を指す言葉です。

海外の老年医学の分野で使用されている  「Frailty:フレイルティ (虚弱、老衰、脆弱) 」 に対する日本語訳です。 日本老年医学会が2014年5月に提唱しました。まだまだ出来て間もない新しい言葉ですね!

厚生労働省研究班の報告書では  「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」 とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。

高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。

1) フレイルを捉える上で大事なのは、 適切に介入することで健常な状態に戻れるという事ですね。
下図のようにご理解頂ければよいかと思います。

2)介護区分でいう”要支援”の状態だと紹介される事もあり、その認識でも間違いないかと思います。 個人的には介護1~3位の方にもあてはまると思っています。 適切に介入できれば介護度は結構下がりますので・・・

どういう人がフレイルなの?

フレイルの診断基準にはさまざまなものがありますが、Fried医師が提唱したものが用いられていることが多いようです。
Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル 1~2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。

  1. 体重減少:意図しない年間4.5kgまたは5%以上の体重減少   
  2. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる   
  3. 歩行速度の低下:秒速1m未満(横断歩道を青信号で渡れない)   
  4. 握力の低下:男性26㎏未満、女性18㎏未満
  5. 身体活動量の低下:自己申告

皆さんいくつかあてはまるものはありましたか・・・(;・∀・)?

注目して頂きたいのが、 フレイルは体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、 気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれるというところです。

下図も併せてご参照ください。

フレイルは身体的なものの他に ・心理的フレイル ・社会的フレイル の3要因が絡み合って発生します。 身体や精神が衰弱したり、弱っている事は理解しやすいかと思いますが、 外出の頻度が減って外部との交流が減っているような社会的に衰弱している状態も、フレイルであると捉えます。

Freidの診断基準を3つ以上満たしていなかったり、身体的な状態が落ち着いていても、精神的、社会的に虚弱であればフレイルであると考えて良いと思います。

どうしてフレイルになるの?

下図はフレイルサイクルというもので、フレイルを悪化させる負のスパイラルです。

出発点は人によって異なりますが、フレイルに陥る人は日常的な低栄養状態が起因となっている事が多いと言われています。
なので、「食べる量が減る」というところから説明します。  

①食べる量が減る
   ↓
②身体に食物が入って来ないので低栄養状態に
   ↓
③低栄養+加齢によって、筋力・活力の低下     
 ※身体的フレイル    
   ↓  
④身体機能が低下し、活動量が低下         
 ※身体的フレイル
   ↓
⑤外出頻度が減って社会的に孤立、精神的にも鬱屈  
 ※社会的、心理的フレイル
   ↓
⑥代謝が減ってお腹が減らないので食事量が低下
   ↓
①食べ・・・  繰り返し

上記のような悪循環に陥るとフレイルはどんどん悪化していき、負のスパイラルは中々断ち切れなくなります。

まとめ

今回はフレイルの概要についてご説明させて頂きましたがいかがだったでしょうか。 厚生労働省もフレイルについては重要だと認識しており、 認知症への中期戦略である新オレンジプランにもフレイルを大きな柱として位置付けています。

介護の前段階であるフレイルに対して適切に介入することで、要介護者を減らし介護保険料を抑えたい狙いがあるようです。

次回はフレイルにならない為の予防方法や、なってしまったらどうするか。 また、医療マッサージがフレイルに対して何が出来るのかをご紹介させて頂きます。

2018年9月21日(木)に東文化会館でラクナル訪問マッサージ治療院 大阪の相談員の小松がフレイルの講演会を行います!
質問や悩み相談もお受けしておりますので、ぜひ起こし下さい。
※会場は大阪府堺市東区の東文化会館で南海高野線 北野田駅から徒歩3分です。 https://press.bindcloud.jp/ue62MJJCG/tj0b-ps_ha/images/gBSGK6m8Em/5196990b9d7b4a9db9fe14c760690282.jpg

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